開発会社の理想像

システム開発、ソフト開発会社は自社にて顧客からの開発作業を請け負い、納品することが基本です。しかし、エンドユーザーから直接仕事を受注するのはかなり難しい現状です。
以前はホームページを作ることもひとつの仕事でしたが、今はHPは個人でもできる作業になっているため仕事として請け負うのは採算的には困難です。

1980年代ごろから自社で作業を請け負う傍ら自社要員を客先に常駐させて作業を行う業態が伸びてきました。これは、顧客が外部に仕事を出すということが社内情報などが外部に漏洩する危険性を孕んでいるということでセキュリティー意識が進んできた1990年代ころから盛んになりました。つまり常駐型派遣です。
また、このような業態が顕著になっていくもう一つの理由はそのころの開発機はほとんどが汎用機で、開発作業時に機械を使う場合どうしても客先に出向かなければならないという必然性があったため客先の現場で技術者が作業したほうが効率がいいという理由もありました。

その後、この業態が不法派遣を生み出し社会的な問題に発展したことは記憶に新しいと思います。採算から考えれば常駐で仕事をするほうが請負のリスクから見れば数倍堅い業務です。
そもそも開発作業にはトラブルがつき物でそのための開発期間の遅延などで当初の見積もりから大きく逸脱してしまう開発案件が多々存在したことを考えれば、請負作業より大きな売上にはならないまでも請負作業と違って常駐した技術者が作業完結させて売上が生じるのではなく、決められた時間現場に存在したことで売上が上がる常駐型派遣のほうがいいに決まっています。
請負開発はシステムが完成しなければ一銭にもなりません。どんなに多くの人件費を掛けても失敗すれば売上はゼロです。大きなリスクです。それなら技術力のあまりない要員でも現場に入ってしまえばその存在だけでお金になるのですからこんないい話はありません。

ですが、それは開発会社の本当の姿ではありません。そもそも、開発会社は開発できるという『技術』を売っているのです。顧客が要望する技術者を紹介して作業に就かせるだけなら人材派遣会社と何の変わりもありません。実際この業態にはどんどん人材派遣会社が参入して常駐型派遣が盛り上がった次第です。
しかし、やはり開発会社とは顧客から直接、開発作業の依頼を受けて、社内の(社員の)技術力を駆使して開発作業を完成して納品する、そして、それが会社としての技術力の蓄積につながり次の仕事を請けることができるようになり、会社は成長して行く。というような過程が理想的と考えます。
そして、技術が進めば進むほど開発期間は短くなり、技術の蓄積と言うよりは常に新しい技術をすぐに使える技術者を現場は要求します。どんなに技術を蓄積しても使えない技術を蓄積していても何の役にも立ちません。使えない技術者(古い技術しか知らない技術者)が何人いても仕事が来ないのも現実なのです。